オールドの修理

先日修理を終えた楽器です。オールドで雰囲気のある良い楽器ですが横板に結構なダメージが有り、裏板も魂柱割れがありました。表板の縁も今までの修理の過程でかなり損傷がありました。その他演奏性の改善など含めてすべてやり直しました。

以前の修理で裏板の魂柱部分に楓の板が張ってあります。安価な楽器ではこの方法でもいいと思うのですがこれでは魂柱部分が必要以上に厚くなりまた調整範囲もかなり限られてしまいます。魂柱部分の割れは張り合わせただけでは必ず開いてしまいます。ですので魂柱パッチという修理が必要になります。以下が手順です。

張ってあったパッチを取り除き新たにギリギリの厚さまで彫り込んでいきます。
彫り込み完了です。
彫り込んだ面に合うように楓の板を加工し膠で張り合わせ乾いた後削り取っていきます。
本来の厚みまで削ります。これで割れの補修もでき、なおかつ音質の改善が期待できます。

続いて横板の補修です。以前の修理で失われた部分も多いため少し大きめに切り抜き新たな板で修理いたしました。

その他指板、駒の交換アジャスターの取り付け、細かい欠けの修理、表板全面のハーフエッジ、ネックの角度及び張り出しの調整を行いました。

組み上げた状態です。ニスのリタッチはまだです。
完成です。